さようなら出雲号(後編)

(続き)


 出雲市へと向けて定刻に東京駅を発車した出雲号。しばらく自分たちの寝台で雑談を交わしていたのだが、そのうちにフリースペースにも空きが出た模様。同行者はみな移ってしまったが、自分はもう寝てしまうことにする。

 午前3時20分。目覚ましよりも少し早くに目が覚めてしまったので、目覚ましのスイッチを切って窓から外を見てみた。果たして列車は定刻に走っているのだろうか?
 そのうちにとある駅を通過。だが、ホームは暗くなんという駅なのか皆目見当もつかない。車窓にしてもたまに街灯が見えるくらいで何も見えない。工場とか商店とかなにか場所が分かりそうな看板でも探そうと目をこらしていると、蛍光灯が明るいホームが見えてきた。駅名標も行燈タイプのものが点灯されており、しっかり「草津」と確認できた。

 時刻表を見てみると草津から京都までは特急はるかが約19分。出雲ははるかには適わないとは思うけれど、出雲の方は停車駅はひとつもないので、この分だと時間通りに京都に着きそうだ。

 というわけで、もし良かったら起こしてくれと言っていたB氏に声をかけ、フリースペースへと移動してみた。フリースペースにはこんな時間だというのにまだ人がいたうえに、京都到着が近づいてきたため起き出してくる人もいた。

 午前3時39分、京都着。ここで出雲号は8分停車する。ここでのメインイベントはなんといっても機関車の交換。ここまではEF65という青い電気機関車が出雲を牽引してきたのだが、ここからは非電化の山陰本線を走るためDD51という赤いディーゼル機関車が引っ張ることになるので、その付け替えのための停車だ。

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 こんな時間だけど時刻表にもちゃんと時間が載っていて、乗り降りすることもできる。もちろん鉄がそれを見逃すはずもなく、その様子を見ようとみんなぞろぞろと降りてきた。
 深夜ということもあるのかホームの警備もそれほど厳しくなく、とりたてて困ったことをするような輩も出なかったので、わりと平和に付け替えの様子を見物することができた。

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 EF65が切り離され、去っていったあとしばらくすると同じ方向から赤いディーゼル機関車がやってきた。こちら側にもヘッドマークが付けられていたのが嬉しかった。上りではこちら側が先頭になるのでどちらにもヘッドマークが付けられているのだろう。そして出雲の客車に連結された。

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 機関車付け替えも見ることができたので、寝台にもどって眠ることにしよう。次は餘部鉄橋をみたいので、目覚ましを6時50分にセットして、再びおやすみなさい。


 午前6時30分。今度も目覚ましよりも早く目覚めることができた。出雲は約3分遅れで城崎温泉(きのさきおんせん)に到着したところだった。3分遅れの理由はどうやら小動物を撥ねたためらしい。撥ねられてしまった動物にはかわいそうだけど、なんだか山陰線らしいなぁ。その上、城崎温泉駅周辺はまだ雪が残っていて、やはり山陰なのだとあらためて感じた。
 午前7時。香住(かすみ)で上りのはまかぜ2号と交換。香住のひとつ先の鎧(よろい)駅、そしてそのもう一つ先の餘部(あまるべ)との間に有名な餘部鉄橋がある。老朽化が進み、建て替えも始まっているこの餘部鉄橋を渡るのも今回の旅の楽しみの一つだった。

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 しばらくして鎧駅を通過すると、車掌から「まもなく餘部鉄橋を通過します」との案内があった。そしてすぐに鉄橋にさしかかり、出雲号はとくに減速することもなくあっさりと通過してしまったが、車窓は期待通りに楽しむことができた。

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 出雲は快調に山陰路を走っていく。しかし鳥取、米子と長時間停車が幾度となくあるものの、こちらは駅の警備がものものしく先頭車からの撮影などとてもできるような雰囲気ではなかった。
 そんな中、松江駅だけはちょっと緊張も緩く、明るくなってからのDD51を写真に納めることができた。赤いディーゼル機関車と青い客車のコントラストがよく似合っている。
 松江を発車してしばらくすると右手に宍道湖(しんじこ)が見えてきた。あと少しで出雲の旅もおしまいかと感慨に耽っているうちに、出雲号は終点出雲市に滑り込んだ。

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 出雲市で一度駅を出て、記念に乗車券をいただいたあと松江まで切符を購入し、スーパーやくも14号で松江へと引き返す。振り子列車の先駆けとなった381系に初めて乗車したのだが、座った座席が台車の真上ということもあって、振り子の機能はまだ働いていないこの区間でもひどく揺れる列車だった。

 松江へとわざわざ戻ってきたのは一畑電鉄に乗車するためで、出雲市からも一畑電鉄に乗ることはできるが松江側から乗った方が接続がよかったので、こうしたのだった。
 JRの松江駅から一畑電鉄の松江しんじこ温泉駅は少し離れていたので、「まつえウォーカー」という100円循環バスを使って移動。接続もよく、松江しんじ湖温泉駅には発車の30分前に到着した。
 駅前を軽く見渡すと足湯があったので、発車まで楽しむことにする。これで宍道湖温泉にも入った(ことにしよう)。

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 足湯を楽しんでいるとやがて発車時間がやってきた。黄色い車体と今度は左手に広がる宍道湖がまぶしい。一畑電鉄はJRとは反対側を走る。

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 松江しんじ湖温泉駅の次の駅は日本一長い駅名として有名なルイス・C.ティファニー庭園美術館前駅(るいす・しー・てぃふぁにーていえんびじゅつかんまええき)。ルイスとCの間にある中黒(・のこと)やCの後に続くドット(.)も一文字として数え、19文字にもなる。

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 駅名標には誇らしげに日本一長い駅名と書かれているこの駅も現実にはただの無人駅。車内の運賃モニターは6文字までしか表示できないので、「庭園美術館前」という素っ気ない表示になっていた。

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 一畑口(いちばたぐち)でスイッチバックした後に、川跡(かわと)駅で出雲大社前行きに乗り換え、出雲大社へと参拝してきた。
 出雲大社は縁結びの神様。御利益ありますように…。

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 廃止になったJR大社線の大社駅にも行ってみたかったのだが、向かっている途中でタイムアウト。このまま行ってしまうと帰れなくなるので、途中で引き返してきた。一畑の出雲大社前駅と比べるとちょっと遠い感じがして、ちょっと不便だったのかもしれない。
 
 出雲大社前駅から再び川跡駅へと引き返し、電鉄出雲市行きに乗車。これにて一畑電鉄を完乗。出雲市ではばたばたと弁当を買い込み、新鋭の187系気動車のスーパーおき5号で新山口まで向かい、ひかりレールスターで博多へと帰ってきた。

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 そんなこんなで、当初はまったく乗車の予定がなかった出雲号にもなんとかなくなる前にお別れ乗車ができました。乗車日はまだまだ廃止まで1ヶ月近く残っている普通の平日だったのでA個室こそ満室だったものの、B寝台の上段にはいくつか空きもありました。しかしながら聞いた話では最終日の指定券は1秒で売り切れてしまったらしいですね。

●乗車車両記録
http://www2k.biglobe.ne.jp/~candybox/html/travels/060223.html

■ 今回の成果 ■

一畑電気鉄道…完乗

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